ますますややこしい状況です。

 

連日メディアがこぞって風疹を取り上げています。

確かに大流行の様相ですから、身を守るのにこしたことはありません。

まず1歳以上でMRワクチンを接種され、かつその後も小学校入学前や中学、高校での公費対象でMRワクチンを接種されている場合、抗体も十分に保有していると考えられます。

問題は、予防接種制度が現在ほど細かくなく、抗体を十分に持たれていないかた、特に成人男性でしょうか。本来は女性がかかりやすく、また3割ほどの成人は過去に風疹のウイルスを吸い込み、症状は出ないけれども抗体を持っているといわれています。

症状は、小児も成人も差があまりなく、発熱と同時に、耳の後ろや、後頭部、顔面などのリンパの腫れや、その後徐々に全身性に赤い発疹(丸くて皮膚よりわずかに盛り上がる、割と小さめ)が広がる病気です。発疹自体は自然に消失しますが、風疹のときには他者への感染の問題とかかっている人がほかの感染症をともなっった場合は、重症化することもあるので、マスクでの飛沫拡散、おかしいなと思われたら速やかに小児科(成人の方は内科で)診察を受けましょう。

妊婦さんが、妊娠初期にかかると先天性風疹症候群という状態になり、目や心臓、脳などの重要臓器を発達させている赤ちゃんに影響が出ますので、注意が必要です。

予防の対策は、やはり人混みを避け、マスクでの自衛、大人の方は過去の自分の病歴を確認しなおして、風疹の予防接種も受けておらず、またかかったこともない場合は、抗体の検査か、予防接種を受けるということになります。

ただ、予防接種自体、メディアではものすごく豊富にあり、行けばすぐに接種できるようなイメージで報道されていますが、実情は国からの生産要請本数が少なく、皆様全員のご要望にお応えできないのが実情です。出張などのお仕事はやむを得ませんが、医療機関ほど感染予防が十分にできていない、公共の場への外出は控え気味にされた方が良いです。

あとは先ほどの内容と重複しますが、病歴の再確認と必要ならば抗体があるかどうかを調べることが重要になります。

現在小児で麻疹・風疹のワクチンを接種していますが、成人がこれを接種しても効果は十分に期待できますので、風疹のワクチンが枯渇した場合は、このワクチンで対応となりますが、これももともと小児を対象としたものなので、残念ながら必ずご要望にお応えできる状況ではないです。

当院も、できる限り皆様のご不安を取り除くべく、ワクチンも施行していくようにしておりますが、過剰な報道で、”米騒動”的な混乱が予想されます。

可能な限り対応をさせていただきますが、報道とは全く違う、ワクチンの量が少ないことを鑑みて、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

また、せっかくサクラの見ごろで行楽のシーズンですが、不用意な外出、調子が崩れているところでの激しい運動などは、健康を第一に考えて、予防のために取りやめたほうがよさそうです。

発熱、頭や耳あたりのリンパ節の腫れ、徐々に下降していく発疹、このような症状に気付かれたら、受診しましょう。特効薬はありませんが、自宅安静のために対症療法を行う必要がありますので。

毎度長文ですいません。

よろしくお願いいたします。

江口小児科  江口 尚彦