おはようございます。本当に困りものです。
少しおさらいとして風疹(ふうしん)と麻疹(はしか)、この二つの感染症のおさらいです。
「麻疹の症状が軽くなったものが風疹」
そう思われがちではないでしょうか?
風疹と麻疹の症状は似ているところもあり、また風疹を「三日ばしか」と呼ぶこともあるので
風疹と麻疹は同じようなものと勘違いしてしまう人もいるのかもしれません。
実は風疹と麻疹は原因となるウィルスが異なる全く違う感染症です。
①風疹
感染から14〜21日の潜伏期間の後、38℃程度の発熱と同時に発疹・リンパ節の腫れ・咳や
咽頭の痛み・目の充血などの症状が現れます。
症状は3〜4日程続き、4日目を過ぎると次第に症状が治まっていきます。
三日ばしかと呼ばれる理由ですね。
主な感染経路は飛沫感染です。
風疹ウィルスは感染力の強いウィルスですが、感染したから必ず発症するとは限らず、
感染しても3割程度の人は発症することがないようです。
②麻疹
感染から10日程の潜伏期間の後、3〜4日38℃程度の発熱が続き、一旦解熱、
再度40℃近い発熱と共に発疹の症状が現れます。
麻疹の症状は1週間から10日程で治まります。
麻疹の感染力は非常に強力で、接触感染・飛沫感染・空気感染が主な感染経路で、
感染するとほぼ100%麻疹を発症します。
今年の春ごろから、海外持ち込みで流行。
院内でも空気感染の怖さを情報提供しています。
③麻疹と風疹の違い
発熱や発疹など風疹と麻疹には共通の症状もみられますが、風疹は発熱と同時に発疹。
麻疹は3〜4日の発熱後一旦解熱した後再度の発熱と発疹が現れるのが簡単な見分け方ですかね。
「風疹なら症状が軽いから心配はいらない」と安易に考えてしまいがちです。
大きな間違いです。
風疹の困る部分は「妊婦が風疹に罹ると胎児への影響が発生する」可能性があることです。
もちろん「麻疹ならば妊娠中に罹っても大丈夫」という訳ではありません。
麻疹でも流産や早産の危険性が高まります。
しかし妊娠中(特に妊娠初期)に風疹に罹ると、胎児に難聴・白内障・心臓異常などの
先天性風疹症候群 と呼ばれる障害を引き起こす可能性があります。
これが、風疹の脅威ですね。
お盆明けの報道で30から50代の男性といわれていますが、お母さん方への罹患が懸念されます。
先天性風疹症候群を引き起こさないために重要なことは、妊娠中に風疹に罹らないことです。
ものすごく難しいですが。
一生続く、風疹に対する免疫を獲得しておくことが唯一の予防です。
ですが妊婦さんは予防接種を受けることができないので、過去にかかったどうかわからないときは、
抗体検査を受けておいた方が良いです。
妊娠初期が、特に危険なのでかかりつけの産科の先生にご相談された方が良いですね。
一般的に男女とも抗体検査の結果、風疹の免疫が無かったり不十分だった場合には、
風疹の予防接種を受け、免疫を獲得するようにした方が良いですが、くどいですが妊娠中は風疹の
予防接種を受けることが出来ません。
妊娠・出産を考えているのならば、早めに風疹の予防接種を受けることをお勧めします。
④最重要な事
ここで、気を付けていただきたいのは、1歳になったばかりの赤ちゃん、就学前の子供さん。
絶対に打たねばならいワクチンが、米騒動的になくなることが多いです。
今年3月以降、麻疹騒動の時も現場でのワクチン不足は本当に困りました。
成人は記憶をたどり、わからない場合はまず抗体検査、そして予防接種と順序をふんでください。
各自治体で異なりますが、補助を受けられる場合もありますので、自治体のホームページで確認
してワクチンは最後の手段にしましょう。
子供さん、妊婦さん、一般成人と重要性が変わります。
よろしくお願いいたします。
江口小児科 江口尚彦