お盆、九州、ああ無情。8月12日。その3。

エッセイ

最近になって気づいたことでもあるが、ミスターはリカバリーの早さとほめ上手の名人。

まあ、僕が単純であることも要因だが。

ミスターマジックと名付けた。

”一日、なんしょうたんならぁ、ずっ探しまくったんでぇ。”

間髪入れず、いや語尾が喰いぎみに、
”さすがやわ、江口ならやると思うとったんや。ほんま、すごいやん!ありがとう!”

これは何も言えない。というかすでにちょっといい気分になっている。まさにマジック。

”ええよ、1日が無駄にならんかったしできるもんじゃな”

”いや、江口やから見つかったんや。感心するわぁ、明日から楽しみやな!”

この時点でいらいらは消えており、準備の事に頭は向かっている。

完全にミスターの掌の上。親友として続いているのもこのあたりが要因なのだろう。

”明日は何時に出るんよ?”

”ゆっくり走って昼めしには合わせたいやん。朝の4時出発くらいがええんちゃう?”

”起きれるんかぁ?”

”大丈夫やって。俺はマップルで案内やるから、運転頼むわぁ”

はぁ?

”ずっと俺が運転?しんどいでぇ。”

”大丈夫、大丈夫、途中変わるし江口の方が安全運転やん!安心してまかせられるわ”

むぅう。

今ほどではなくともかなり暑い中、早朝から運転し続けるのはなあと思いながら、

ミスターマジックで承諾した。

”なら、朝4時ちょっと前には迎えに行くけぇ、用意ちゃんとしとこうで。

あと、変わってもらうこともぜってぇあるけぇ、寝とけよ”

”おう!!、これから菓子やらテープや用意して6時には寝るわ。3時くらいに起きて、十分間に合うやろ?”

”じゃな。そのくらいがちょうどええ。俺もきっちり仕上げて迎えに行くわぁ”

そこから、急いで往復が飽きない量のテープ、車中でのお菓子、宿泊の用意をしてささっとご飯。

入浴後7時前にはベッドに。

人の常ではあるが、中々こういう時に限って、初の長距離運転への喜びと絶対に起きなければの緊張で寝付けない。

そして”軽トラ、珍道中”で記載したが、ミスターの時間概念、案内の大まかさに一抹の不安もあったので、寝たり起きたり。

まあ、実家なのでちゃんと時間通りになるだろうと思いながら、浅い睡眠で8月13日を迎えることになる。

ミスターの実家までの時間を逆算して、家を出て13日午前3時50分に到着。

チャイムを鳴らすとミスターのお母さんがすぐに出てきてくれた。

”まあ朝早くありがとうね。楽しんできてください。ちょっと待ってくださいね。”

10分経過。何もアクションが起こらない。

え?まじ?実家だぞ?

まさかな、いやまさか、か?

出だしから焦る僕。姿が見えないミスター。

さあ。ハッピーデビルドライブto九州が幕を開ける。

以下次号