フルは外ー。

 

1月が今日で終わりですね。

毎年感じますが、早い。明けましておめでとうございますから、もう1年の12分の1が終わりです。あっという間に時間が過ぎていきます。ここ2,3日は暖かいようですが、来週火曜日あたりから寒さがまた厳しくなるようですね。

同じように、フルスピードをかけているのがインフルエンザでしょうか。一気に広がり始めています。帰宅時の手洗い、うがいや体調管理も必要ですが、その努力を一気に粉砕するのが”動けない人混み”です。これも例年記載していますし、何も神事を愚弄するわけではありませんが、2月3日の神社の境内、さらに西大寺での拡散が気になります。

豆まきならぬ、”フルまき”、そして”ふんどしdeわっしょい祭り”です。

接触感染(唾液や汗を介する感染)の破壊力はすごいですし、今年は特に季節型のA,BとA(H1N1)が同時に流行していますので、身動きが取れない中で、そして寒い中で感染する確率は一気に上がります。午前中の節分でさえ怖いですが、夜間気温が下がり、静かにインフルエンザウイルスが増殖した絶妙なタイミングで、汗や唾液が飛び散ればどうなるか。考えると恐ろしいです。参加されているふんどし戦士の皆さんは屈強な体力をおもちかもしれませんが、侮れませんし、周囲にいる皆さんの頭上にパウダーインフルエンザが降り注ぐわけで、いろいろな所で予防していてもすべてが焼け石に水、ということになります。

とはいえ変わらず開催はされるわけで、せめてマスクと十分な水分の補給はしましょう。特に2月は受験が本格化しますし、全員の健康を考えると本当は控えたいところですが、気をつけてください。

レジャーに水を差すようなことをよく書きますが、小児に携わると皆さんの可能性を重く感じます。2日前に30歳の女性の方が画期的な万能細胞で世界的な注目を浴びるようになりましたが、その方が思いついたのが2008年、24,5歳の頃ということになります。ぐうたらな24,5歳を過ごしていた自分としては、尊敬しか出てきません。自分自身の今後の20年と今現在乳幼児や小中学生の20年では重みが違うなと、ひしひしと感じます。柔軟な発想で世界を変えるような可能性もあるわけで、先をある程度見通せる成人が、守らなければならないなと感じますし、責務もあるなと受け止めています。

たかが風邪、されど風邪で、重症化することもありますし、成人の都合で子供の持つ可能性を摘み取ることはできないです。

感染症、虐待、事故など子供をとりまく環境に危険因子は山ほどあります。小児内科の領分でできる最大限のことを、不完全な自分ですが、やり続けるしかないなというのが正直な気持ちです。小さい頃に色々な楽しい経験もして、それが可能性につながる部分も当然たくさんありますから、レジャーも必要ですが、あくまでも健康あっての上です。

度々書いていますし、来院された方にもお話していますが、僕は傷口の縫合もできません。骨折の手術もできません。複雑な心疾患などの手術もそうです。皮膚にレーザーを当てることもできませんし、鼓膜の切開などもできません。高齢の方の頭痛の治療も、他に原因が潜むこともありますから、迂闊にできませんし、成人の糖尿病の管理もできません。それぞれ専門の先生が、プロとして腕に磨きをかけて臨まれているものですので、手出しもしません。

できることは小児内科医として、なるべく100%を目指して、見落としなどがないように、感覚を研ぎ澄まして、技術を磨き、自分でできないと判断したら、信頼のできる専門家にすぐに相談することにつきます。

かなり青臭いですが、そうやって行くしか子供さんの健康を守ることができないので、やり続けるだけです。

学術に限らず、スポーツも含め、どの分野でも驚くような力を発揮する子供さんたちを守る、言葉では簡単に言えますが、今までのスタンスを崩すことなく、メディアの影響も受けず、信念を貫き通すしかできない自分としては、”自分に厳しく、人に優しく”を常に考えていきたいところです。

そしてご両親さまと二人三脚で、じっくりと向き合うしかないと思います。

まだまだ感染症が怖い季節です。あまりにもすごい出来事に出合ったため、自分のやるべきことは何かを改めて、自分を律するためにも記載しました。

少々お固い文章ですいません。

感染症の新しい報告が出次第、すぐに記載いたします。冬を乗り切りましょう!

よろしく願いたします。

 

江口小児科  江口 尚彦