エッセイ

エッセイ

”あの時は(ルームサービス④)”

とにかく混乱した頭で、きょろきょろ周りを見ると窓に己の顔が映る。 ”あんた、食べたね” やはり誰が見てもそれとすぐわかる油でコーティングされた口。変な汗をかくのが自分でもわかるが、世の中捨てたものではない。 スタッフ廊下の端に、神様がいた。...
エッセイ

あの時は(ルームサービス③)

何も突然の衝動というわけではなく、バイトを開始したあと、何度もこの葛藤に悩まされつつ強い意思で乗り越えてきた。 時代がそうさせていたのだろう。 結果的にどのお客様も勢いが強く、ご提供をさせていただいたあとも若干いやな気持になることが多かった...
エッセイ

あの時は(ルームサービス②)

ただ、無意味に空腹と戦っているわけではない。それなりの理由もある。 19歳当時、世の中バブル絶頂。消費が美徳とされていた。 僕たち、アルバイトウェイターがホテルに着き最初に行うのは、前日のルームサービスの片づけだったが、毎日大量の食べ残しを...
エッセイ

”あの時は(ルームサービス①)”

不定期連続ざんげエッセイ  もう、30年近く前になる。大学1年の夏、僕は日々バイトに明け暮れていた。 岡山市内で現在は廃業している、ビジネスホテルにあるレストランでウェイターをしていた。 時効、と考えて重大なエピソードを告白したい。 今は到...