3月13日時点での現状報告です。

都道府県医師会新型コロナウイルス感染症対策協議会
唾液、汗などの付着。

日本医師会主催の新型コロナウイルス感染症対策協議会です。

 

現状ですが、日本での感染は、爆発的ではないが、経路の追跡不能な

患者様、市中での2次感染などにより、緩やかに増加傾向の状態です。

これは、皆さんご存知と思いますが新型コロナウイルス感染症では、

80%以上が軽症、13.8%が重症化、6.1%が重篤となります。

この重篤な部分では、”季節性インフルエンザに比べ、10倍以上シビアな

感染症だ”とアメリカの高官は述べていますが、あくまでも重篤化の時に

ですので、大きな変化が見つかったわけではありません。

 

亡くなられた方は本当にご不幸ではありますが、死亡される方が諸外国に

比べて大きく増えていないのは日本の高度医療体制があってのことです。

ただ医療資源、その医療現場での人的疲弊もかなり強くなっており、そう

いう意味では、今後増え続けた場合にほとんど風邪症状で終わることもある

ウイルスだとしても非常に怖いものと考えていないといけないわけです。

 

基本戦略が

・クラスターの早期発見・早期対応

・適切な医療供給体制の確保・維持

・市民の皆様のご協力

となってきます。

 

その点で、今回北海道で出された緊急事態宣言、新規の法律により全国的にも

同様の宣言を出して、集団感染の抑制が必要です。

入国制限もしかり。

この部分を徹底しないと、今回国内流行をいったん抑制できても接触が多ければ

再流行もありますし、諸外国の蔓延状況から持ち込まれて再流行もあるからです。

 

クラスターの条件も連日メディアで言われていますが、換気の悪い空間に大勢

の人が密集する場所です。

予防にもう一つ大事なものは、自分がそうかもしれないということを隠さずに、

電話相談をしていただき(風邪だからいいや、などと思わず)その指示で受診、

もしくは自宅待機をためらわず行うことです。

これも徹底しましょう。

ご自身だけの問題ではなく、他者への影響も出てきますので。

 

ここで出てくるのは帰国者・接触者センターへの支援です。

 

連日パンクし続ける電話相談。

つながった場合でも各自治体がまちまちで、指定病院にすぐ行きましょうと

全て誘導する場合などもあり、若干機能がマヒになりつつあります。

これに対する支援案も話し合われました。

19日にまた答えが出てくると思いますが、現在の公的機関だけではなく、

十分な知見、業務への理解を有する者への外部委託も可能になっています。

今は、その細かな選定作業中ですね。

 

医師には、応召義務がありますので”熱があるから診ることができない”などは

できません。

その際に、帰国者・接触者センターへの誘導や指定病院の存在が大きくなります

ので、一次救急で、感染拡大を最大限に診察をして食い止め、指定病院などで

検査・治療です。

 

なので、要の帰国者・接触者センターや指定病院のパンクは避けねばなりませんし、

患者様の行動制限のお願いも大切になってくるわけです。

これは、単に移動の制限だけではなく、もっと大切なのは飛沫予防の咳エチケです。

 

特に子供さんは無防備に飛沫を拡散させますから、保護者の方もどの場所だとしても子供さん

の動きに注意し、子供さんへのマスクの着用など厳重にお願いいたします。

 

医療用のマスクなどは、中国からの流通ルートの回復も少しずつみられ、国が一括管理をして、

特に必要と思われる医療機関や地域への配布も近日中に始まる見込みです。

 

新型コロナウイルス感染症以外の病気も多く存在していますし、花粉症、また外科手術の場でも

必要になってまいります。

 

検査手技に関しては、極端に飛沫の出る行為に関しては、空気中にウイルスを蔓延させてはいけない

という観点から、医師の判断で病気の診断をすることも当然検討されています。

 

昨日テレビで

 

”インフルエンザの検査を取りやめる方針”と日本医師会の理事の先生のお話しがあった。

 

というようなニュースが昼にありましたので、ご覧になられた方も多いかと思いますが、

夕方の会議でその先生ご自身が会員に伝えていた正しい文言での内容は、

 

”検査の中止を、医師の判断で検討もお願いしたいです。

 

ちょっとした言葉のマジックで内容のニュアンスが変わりますので、疑問に感じたら

ご確認ください。

僕自身、報道の方向付けに驚きましたので。

 

乳幼児など、検査で重症度を判定する疾患もあります。

子供の集団で、仮にこのままコロナウイルス感染症が無症状で続き、無検査で見逃された

他の疾患蔓延は困ります。

あくまで”医師の判断””検討をお願いしたい”が正しい言葉でした。

 

今後も検査で陽性となり、患者様の発生は漸増傾向になると思われますが、

二類感染症に分されている疾患が、

”陽性だったのに、あるいは入院しているのに隠しているらしいよ”

などということは絶対にありません。

そのたぐいのデマに振り回されないでください。

 

その他、各県で対応するのではなく、ブロック単位で診療を行うことや、救急搬送時も

二類感染症では感染症法21条の規定があり、そこの細かな煮詰め、介護サービスへの対応

なども決まっていること、課題がご報告され、北海道、東京、愛知、神奈川、兵庫等々、

各県医師会の方から多くの質問・要望も出ました。

 

これらの事は連日、国レベルで討議され、19日に新しい指針へとつながってまいります。

僕も、次回は19日のこの会議出席ですが、変化を、またメディア報道の補い、根拠などを

お示しします。

 

毎回、くどいですが世界的に蔓延し、少数の方(高齢者、基礎疾患を有する方)などが重症化

しやすい風邪です。

しかし、広がりの怖い風邪です。

 

季節性インフルエンザが皮肉にも激減しているこの冬ですが、皆様の予防意識が高ければ、

クリーンな日本に戻るはずです。

 

19日までの間も状況が変わると思われますが、必ずお伝えいたします。

当院も、感染症対策理事として、皆様が安心して我が子の苦しい状況をお伝えいただき、

診させて頂けるように努めております。

短くしたつもりですが、何分会議が長く長文失礼いたしました。

現状の報告です。

追記:3月13日22時の時点で岡山市内は検査、全例陰性です。

本日14時までよろしくお願いいたします。

 

江口小児科  江口尚彦