日本脳炎ワクチンの現状。昨日の時点です。

今日のお話
メディアの育児法にふりまわせれないでください。

おはようございます。

今日は全日健診の木曜日です。医院自体は休診です。

”日本脳炎ワクチン”の記載は、カテゴリー、ワクチンについてでまとめて見れますので。

さて今回、医療機関、患者様ともに突然出荷停止でかなり驚きました。

何故なのかを、昨日情報交換を行いました。

 

まず、ワクチンの精製自体、相当な時間がかかります。

株を”不活化”と呼ばれる無毒化の状態に3か月。

その後、精製液に加工し、国家検定で安全性を認められ、

メーカーから卸業者を通じて、われわれのところに納入されます。

新規から作成すれば、1年以上の時間を要します。

何もない時期であればきちんと流通いたしますが工場が大きなダメージを受ける事態になると、

製造そのものがストップします。

 

日本脳炎ワクチンも、いくつかのメーカーが作られています。

被害にあわれた方はいまだ復興ができず困っておられますが、熊本地震でワクチンも相当ダメージを受けました。

しかし、必要とする患者さんに必ず接種できることが大切ですので、被害からの立て直しが少し早いメーカーが増産。

他のメーカーも製造を支えて、震災当時の見通しでは、十分に流通するはずでした。

 

その後、日本国内でも定期化になっていなかった場所が定期化になるなど、日本脳炎ワクチンのニーズが急増。

それでも全メーカーのトータルで持ちこたえてきていましたが、

①あるメーカーがしっかりと準備をしている途中で、新規の製品化が追いつかない

②他のメーカーの増産体制・供給が急がれている中、まだ完全に整っていない

という事態が起き始めていたようです。

 

昨年あたりからわかってきていたようですが、情報が漏れないように厚労省の配慮でかん口令があり、

私たちは何も知らずで、接種をさせていただいておりました。

事前に不確実にマスメディアが情報を出すと、ポテトチップスではありませんが大騒動な事態にされてしまう。

それを避けてのかん口令です。

連休に入る直前あたりで製品化が間に合わない日本脳炎ワクチンの代わりに、

他のメーカーの増産が整いそうだとの見通しが立つという情報が現場におりてきて、

5月8日に通知が出たわけです。

途中のプロセスを全く知らない我々は9日、混乱しました。

ですがメーカーも、卸業者も、不確定要素で事前に動けなかったようです。

事情はよくわかりました。

 

また、国がかん口令をしかないと、

2009年の新型インフルエンザのワクチンのときと同様、

決定事項ではないことが、あたかも決まったようにメディアに露出。

そのため患者様が混乱に陥るのを避けることができないとの配慮です。

 

一方、大切なワクチンですから、

国から医療機関には状況を把握してできるだけ早期に通常通りに接種ができるようにと通達がありました。

ある程度の見通しが立っての通達だと理解しています。

事前リークなどがないですので、当院も含め備蓄している医院もほとんどないです。

今しばらくは混乱が続くようです。

今後短いスパンでワクチンの平等な納入がされ、ご予約再開をお知らせできるようにはなります。

ただ、昨日の時点では、いつからかはまだわかりません。

 

国も、メーカーも、卸業者も、医療機関も、絶対的に大丈夫とならないと動けないので、

現在、接種のご予約をお受けできていない現状は苦しいです。

ですが5月8日に情報が突然出たのも、市場の混乱を避けるため空白時間を最小限にするためと理解できました。

 

当院は、5月11日現在、まだ最初に記載した通りの状況ですが、ご予約がとれるタイミングが来次第、すぐに記載いたします。

予防接種は突然性が多く、皆様にご迷惑をおかけいたしておりますが、現状を鑑みてもうしばらくお待ちください。

刻々と変わる状況も、ご報告してまいります。

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

江口小児科   江口尚彦