”あの時は(無知な大学生たち②)”

エッセイ
変化球でいいかも~

定員5人乗りの車に無理やり6人乗りこみ、とりあえず出発。

エンジンも快適に動き、何よりも自転車ではなく、自動車に乗っている喜びをかみしめて動いていた。気がつけば夜になっていたが、鳥取の風景も車窓越しでは、まるで違い、天下を取ったような満足感に浸った。

これから、交代ごうたいでどこにいくか、順番はどうするかなど無邪気に話していたが、空腹に気がつく。

このときここまで気分が浮かれていなければ、冷静におかしな車であることもわかったはずだが、なにせ浮かれている。

”今日は、モスでいっぱい食べるら!”

バカボンの提案で、満場一致。

さらに喜びいっぱいで、国道9号線を目指して走った。

僕は助手席に乗っていたが、少しおかしな様子は感じていた。

ハンドルを右に切る。僕も少し右方向にいすごと回る。

ハンドルを左に切る。やはり少し左方向に体ごと向く。

体感マシーンのようなもの、とイメージしていただければよいだろうか。

しかし、馬鹿なのでこんな演出もあるのだなあと逆に感心し、心はモスに向いていた。

そろそろ国道9号線に合流する交差点が見え、信号も赤に変わったので。バカボンが静かにブレーキを踏んだ。

その時だった。

”ンゴッ”という異音がし、車は停止したが車中の全員が右前方に傾くことになった。

さすがに静寂が走るが、誰も状況を飲み込めていない。

”ああっ!あれ、あれ!!”

Gジャンが右前を指差し大声で叫んでいる。そこには・・。

以下次号(週刊です)